耳鳴りとは

耳鳴りとは、外部からの音刺激がないにもかかわらず、耳や頭の中で音が聞こえるという不思議な現象です。虫の羽音や風のざわめき、あるいは電子機器から発せられるノイズのように、人それぞれに異なる音を感じ取ります。
日本人の10〜15%が耳鳴りを経験したことがあり、そのうちの2割の方、つまり日本人の2〜3%にあたる300万人ほどの人が耳鳴りに悩んでいるとされています。

原因

耳鳴りの80〜90%は難聴が原因とされています。
何らかの原因で難聴になると、音による脳への入力信号が少なくなります。すると脳の聴覚に関わる領域が音に対する感度を上げることで神経の興奮が起き、その神経活動を音として認識してしまい、それが耳鳴りとして聞こえてくるのです。
つまり、耳鳴りは耳で鳴っているのではなく、聞こえなくなった代償として脳神経の活動が活発になり脳で発生しているというわけです。
なかには難聴を伴わない耳鳴り、子供の頃から鳴っているという方もいますが詳しい原因は分かっていません。
難聴の原因としては加齢性難聴、騒音性難聴など聴覚細胞の老化や損傷、薬剤性や突発性難聴、メニエール病、聴神経腫瘍、中耳炎などの疾患によるものなど様々な原因があります。
また、ストレス、疲労、睡眠不足、肩こりなども耳鳴りを悪化させる要因となります。

症状

耳鳴りで聞こえる音は、「キーン」「ピー」「シャー」といった高音、「ゴー」「ザー」「ジー」といった低音など、実に多様です。
これらの音は、常に聞こえ続ける場合もあれば、断続的に聞こえる場合もあり、その程度や頻度も人それぞれです。 片耳だけに聞こえることもあれば、両耳に聞こえることもあり、頭の中で鳴っているなど症状は多岐に渡ります。
耳鳴りは、単に音が聞こえるというだけでなく、集中力の低下やイライラ、睡眠障害、不安感や抑うつなど、様々な心身の不調を引き起こす可能性があります。

治療

耳鳴りの治療法は、その原因や症状、そして患者さんの状態に合わせて選択されます。
原因が特定できる場合は、その根本的な治療を行うことで耳鳴りの改善が期待できます。
しかし、加齢に伴う難聴や原因不明の耳鳴りの場合、完全に症状を消失させることは難しいケースもあります。 そのような場合は、耳鳴りを軽減し、共存していくための治療が中心となります。

薬物療法としては、内耳機能を改善させる目的で血流改善剤、血管拡張剤、ビタミン剤、ステロイド剤などが用いられ、耳鳴による苦痛を和らげるために抗不安薬、漢方薬、筋弛緩薬などが用いられます。
音響療法とは、耳鳴の大きさを10とした場合、環境音など他の音を8くらいの大きさで長時間聞くことで、耳鳴を際立たせなくして脳を耳鳴に慣れさせる治療です。
TRT療法(耳鳴順応療法)は、カウンセリングと音響療法を組み合わせた治療法です、耳鳴りのメカニズムを理解し、音に慣れることで、脳の反応を変えていくことを目的としています。
補聴器装用により難聴を補うことで耳鳴が軽減する場合もあります。
耳鳴りは、患者さん一人ひとりの症状や生活背景を考慮した上で、最適な治療法を選択することが重要です。

耳鳴りは、多くの人にとって、長年付き合っていく必要のある症状です。 しかし、医学の進歩により、耳鳴りのメカニズムの解明や新たな治療法の開発が進んでいます。
耳鳴りに悩まされている方は、決して諦めずに、専門医に相談し、適切な治療を受けることで、症状の改善や生活の質の向上を目指しましょう。